【経営者の内観インタビュー】 アイズミュージックアカデミー代表取締役 安藤尚範社長
今回は、名古屋駅・金山駅で「音」を「楽」しく学べる音楽総合スクールを経営されているアイズミュージックアカデミーの安藤尚範社長にお話を伺いました。
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考え方が180度、変わりました。
Q.集中内観に行ったきっかけを教えてください。
A. 集中内観があることは、何年か前からは知っていたんですが、一週間休んで、携帯も触れないし、仕事もあるので、なかなか重い腰が上がらなかったんですけど、周りの知り合いが行きだして、「とっても良かった」と「絶対行った方がいい」という言葉を何回も聞いて、「じゃあ行ってみようかな」と思って行ったのがきっかけです。
何をするのかは聞いてたんですけど、どうなるのか、どういいのかは、正直なところよくわからないまま行きました。
後半はもうずっと泣いて、感謝と気づきの連続でした。
Q. 7泊8日の集中内観中、どのようなことを感じましたか?
A. 内観研修所に着いて、早速内観に入ったんですが、まずは母親についての自分を3年間区切りで「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の3項目で見ていきました。
最初のうちは、特に3日くらいまでは、「これでいいのかな。何が変わるんだろうか。」みたいな、帰りたい衝動の方が強くなってきて、不安もあったし、「これで何がわかるのかな」ということで、特に前半は、悩むというか、これでいいのかな?という感じだったんですね。
ただ、段々繰り返していくうちに、思いが深くなってくるんですね。不思議と…。
そのうちに、僕の場合は5日目に母親に対して、ケンカしたことを思い出したんですけど、自分はなんてわがままで我が強くて…とか、そういうことが心からわかってきた感じがあって、それで、そのうちに母親に対して感謝の心がすごく湧いてきて、涙が溢れてきて、もう止められない状態でした。
それと同じことが、6日目に父親に対して起こって、そして7日目には、妻で起こったんですけど…。
後半はもうずっと泣いて、感謝と気づきの連続だったという感じでした。
「愛されてたんだ」ということを深く感じた
Q. お母さまとのエピソードで感謝を感じられたきっかけはありますか?
A. 小学校の時に、母親と僕がケンカをした時のことを思い出しました。くだらない事なんですけど、僕は「この服を着て学校に行きたい」と、でも母は「こっちの服の方がかっこいいからこっちを着ていきなさい」と、しょうもない事だったんですけど、僕は「この服がいい」母は「これがいい」って言って、そこで朝ケンカして、僕は「着たい服を着ればいいじゃん」と思っていたんだけど、母は僕の事を想ってたんでしょうね。「この方がかっこいいから着ていきなさい」って、でもその時の僕は「自分が着たいのを着たいし、なんでそんなこと言われなきゃいけないんだ」って思ってて…。
今考えれば、母親がこれ着ろっていうのを着てあげれば良かったかもしれないけど、でも悪い事してると思ってないし、だから感謝につながる感じでもないんですよ。
だけど内観面接の方が、「そこをもう少し深く掘った方が良い」とおっしゃってくださって、「本当にここから何がわかるんだ」と思って、でも実際にもう一回ここから何がわかるのか、何を学ばなきゃいけないのか、母はどういう思いで自分に伝えたのかという事をちょっと深く考えたんです。
そしたら段々、自分はこだわりがあって、自分の思い込みというか、価値観を母に押し付けてて、もちろん母もそうだったんだけど、母の場合は僕の事を想って、要は子どもに対する愛情が強かったんですね。子どもの事を想う愛だったので、それを感じ取れなかったのが「愛してくれてたからだったんだ」と何か急に気づいたんですよ。
なのに僕はそれに反発して、自分の我を通そうとしてて、しょうもない事なんですけど、要は母親が僕の事を愛してくれてるという事が、その出来事から急にわかって、そこからすべてが、だから母が自分にいろんなことを言ってきたのは愛情から来てたんだという事がわかったんですね。そしたら涙が止まらなくなって、「愛されてたんだ」ということを深く感じたというか、それでありがたさと感謝と自分の不甲斐なさで、涙が止まらなかったって言う感じだったんです。
考え方が180度変わったんです。こんな気持ちになれるなんて本当に思ってなかった。
Q. 1週間の集中内観が終わって、何か感じたこと、変わったことはありますか?
A. あります。僕は特に父親に対して、あまり関係がうまくいってなかったというか、感謝が湧き上がってこなかったんですね。だからそれは少し悩んではいたんです。親に感謝できないって、良くないってわかってたんですけど、どうしても湧き上がってこないし、ありがとうっていう気持ちを無理やり言う感じだったんです。
それで内観に行って正直それが解決できるとも思ってなかった。
ただ、父親の事を内観した時に、母親と同じような感じで、父親も僕の事をものすごく愛してくれてたという事がすごくわかったんですね。これも父親に怒られたことから出てきたことなんですけど。僕を叱るのは、ちゃんと愛情があったってことなんですよね。子どもの頃は叱られると嫌だし、怒られると怖いから、そこでシャットアウトしてるんですけど、それを内観に行って客観的に、なんで怒ったのかという事を深く見ていくと、父親は僕の事を愛していたんだと。だから、やり方は間違っているかもしれないけど、とにかく愛情があったんだという事が、すごくわかって、母親の時と一緒で、父親の時もそれに気づいた時、涙が止まらなくて…。
内観に行く前の僕は、父親に感謝ができなくて、どちらかというと父親にちょっと冷たい態度をとっていたんですね。
親孝行をしたいと思っても心からできないというか…。でも内観に行って、父親の愛情を感じたので、考え方が180度変わったんです。
僕は本当に愛されていたし、僕も同時に愛していたし、そしてしてもらったことばっかりで、何も返してないという事が、本当にこの7日間で痛感したんです。
それで、これはもう謝らなきゃいけないと思って、今まで育ててくれた感謝と、今まで何もしていなかった自分の不甲斐なさ。それで父親に対するこの間違った自分の思い。これをまず謝罪しようと思って。こんな気持ちになれるなんて本当に思ってなかったし…。
どちらかと言えば、反対だったんですよ。謝罪するというか、謝罪しろくらいの感じだったから…。でも本当にそういう気持ちになって、実際に内観終わって帰って、両親に座ってもらって、実は内観というところに行って来て、こういう体験をしたと。本当に自分は親の愛を一再くみ取ることなく、むしろ逆に捉えていたと、泣きながら、申し訳なかったと…。これからはちゃんと返していけるように努力するので、これからもお願いします。みたいな感じで…。
これはもう、僕からしたら革命なわけですよ。内観に行かなかったら、絶対にできなかったし、だどりつけなかったですね、その心境に…。
なのでこの変化は非常に大きかったです。
感謝という心にちゃんと触れてるから、ブレーキがついてる感じがある
Q.内観の直後と3ケ月後のご自身の心境の変化はありますか?
A. 正直、内観の直後は本当に心がきれいになっているので、とてもいい人になれるんですよ。感謝に溢れるし、みんなに施したくなるし、とても気持ちがいい感じが続くんですけど、残念ながらやっぱり段々この娑婆に慣れてくると、どうしても元に戻ってきてしまうんですね。
それで3ケ月くらいになってくると、ほとんど戻ってます。
じゃあ、どう戻るのかと言えば、もちろん昔(内観に行く前)に戻るんですけど、ただ、7日間の集中内観直後ほど心はきれいじゃないんですけど、一回感謝が溢れてくるという体験をしているので、全く(内観に)行ってない時とは明らかに違うんです。
僕は父親に対して昔は悪態をついてたり、感謝できなかったりしたんですが、今は、ちょっと悪態はつくんですけど、感謝という心にちゃんと触れてるから、すぐに(内観後の心に)戻そうとするブレーキがついてる感じがあるんです。
だから、もちろん昔(内観前)のように悪態をつくような態度になったとしても、ブレーキがある。このブレーキはたぶんずっと何年たっても無くならないと思います。
ただ、段々さび付いてくるというか、ブレーキが重たくなるというようなことはあるかもしれないですけど、無くなることはないと感じます。
なので、時が経つと、定期的にメンテナンスはした方がいいというのは感じます。
会社への感謝が湧き上がってきたようで、それを体験すると、変化があり、話からも、態度からも感謝心が伝わってきます。
Q.会社として何か変化はありましたか?
A. 僕が内観に行って帰ってきて、「全人類が内観を受けた方がいい」と思ったんですね。それぐらい本当にいい気づきがあったので…。
まず、僕が関わる人達に行ってもらいたいと思ったんです。
その時に、特に近い人、家族や兄弟、社員など会社で関わる人達と思いました。
家族にも当然勧めたんですが、僕は会社を(経営)しているので、会社のスタッフの幸せが僕にとっての課題で、そのために会社をやっているのもあるので、じゃあどうしたら幸せになれるのか…。スタッフに時間をもらってお給料を支払ってという関係でつながっているので、それだけじゃなく、やっぱり心からこの感謝が湧いてきたら、会社も良くなるし、その個人のスタッフも良くなると思ったので、会社の研修として行ってもらおうと思ったんです。
それで実際スタッフみんなの前で、その話をして、最初みなさんきょとんとしていました。
社長がまたわけのわからない所に行き、「研修として7日間の修行へ行ってほしい」と、何を言い出したんだ。という感じだったんです。最初は…。
でも僕がとても熱く体験談を語ったので、社長が言うならと、スタッフ何人かに集中内観に行ってもらいました。
自分から手を挙げて行ってくれたスタッフもいました。
なかなか行きたくないという人もいて、でもそのスタッフも研修なので行ってくださいという事で一応行ってもらいました。
行きたいスタッフは、やっぱり変化があって、「行かせてもらってありがとうございました。」と言われていて、また僕が体験したように感謝が溢れてきて涙が止まらなかったという人もいました。
行きたくない人が行ってどうなるか、心配だったんですけど、そのスタッフたちも帰ってきて、涙なしでは語れないくらいの経験をしたそうなので、これはある程度、社員研修として一律に行ってもらっても効果があるんだなと思ったんです。
会社で内観研修として行ってもらう場合は、会社に対しての自分を調べることもお勧めてしてくださっているようで、会社に対して内観したスタッフは、今まで思ったことがないような会社への感謝が湧き上がってきたようで、それを体験すると、変化があり、話からも、態度からも感謝心が伝わってきます。
でも先ほど話したように、時間が経ってくると、忘れていくというか、最初のうちはキラキラしてるんですけど、段々戻っていくと感じるんですけど、これもさっき話したように心の奥底にあるものに触れているので、またすぐに(内観後の心境に)戻れるなというのはあります。
なので、内観に行ったスタッフ同士で仲良くなったり、内観に行ったからこその体験話が出来たりするので、それでまたいい関係が築けてるなと思いました。
Q. 集中内観に行かれたスタッフや周りの方で、何か変化はありましたか?
A. 一番変化が大きかった女性スタッフがいるんですけど、そのスタッフは、親と確執があって、親を許せないという思いを抱えていたようで、内観に行って、一日目から号泣して感謝が溢れてきたそうです。7日経って心が洗われて、今まで結婚に全然踏み込めなかったそうなんです。それは自分の親に対してちょっと恨みがあったので、自分が家庭を持って子供を産むという事にブレーキがあったそうです。内観でそのたがが外れたら、結婚したいという思いが溢れてきて、以前も恋愛はしていたけどなかなか結婚に踏み込めなかったのが、集中内観から帰ってきてすごく活動し始めて、数カ月で結婚しました。それは本当に内観のおかげだと言われてました。
会社でも、会社に対して感謝を持ってくれるスタッフは、例えば会社でちょっと大変なことがあっても、内観に行くと考え方が相手目線になれるというか、会社という立場で見るようになるというか…。
会議などで昔はあまり発言しなかったスタッフが発言するようになったり、発言が増えたり、自分(我欲)を出すことが減ったというか、会社の事を想って発言する事が増えた気がします。
Q. ご自身でも反省をされていましたが、内観法との違いは何ですか?
A. 今までも自分を振り返ったり反省していましたが、テーマが広いので、どこから、何を反省すればよいのか迷ってしまう。
その一方で、内観法は、母親に「してもらったこと」「して返したこと」「ご迷惑をおかけしたこと」というテーマがあって、さらにそれを年代別に見ていくので、それをやるだけなので迷わない。
だから最初はこれで何の意味があるんだというのは思います。
自己流の反省であっても、これで何の意味があるんだろうと思うのは同じだと思います。
例えば今日嫌なことがあったな、なんで嫌な気持ちになって怒りが湧いたんだろうと、この怒りっていつごろからこういう事で怒るようになったんだろうって、過去を振り返る。
小さいころ父親のこういう事でイライラしたなとか…。そのイライラしたところから見ていって、僕の反省の場合そこで止まってしまってたんですよね。
でも、内観の場合、「してもらった」ことから見ていくので、自然に反省が入るというか…。
してもらってばっかりだったなって。して返したことなんて思い出せないですよ。
だから、振り返ることで、勝手に反省がセットされてて、また感謝が自然に湧き上がってくるようになってる。だからこの3項目になってるような気がするんですけど。
もうプログラム化されてるので、すごく効果がわかりやすいというか、僕がやっていた反省よりは、もう道しるべがある、その型通りにやっていけば、自ずと導かれるようになっている。でも心を見ていくという面では、今までやっていた反省と一緒なんです。
内観して落ち込むという風にはならない。感謝が湧き上がってきました。
日常内観が大事。やっぱり磨いていかないと、なかなか心がきれいな状態を保てないので、集中内観に行った人みんなのテーマだと思います。
Q.内観後に、ご家族や周りから変わったねと言われたことはありますか?
A.これがね、ほんとに最初だけなんです(笑)
僕の中では変わってるんですけど、表面的に(変化が)出てくるのは最初だけですね。
最初は確かに怒らなくなったとか、対応が変わったとか多々言われていました。
でも、今は逆に「本当に内観に行ったの?」って言われたり、部下に対しても「本当に内観に行ったのか?」と、正直思います。これは自分も感じます。
ただ内観で体験した心境は心の中にあるんです。
なので、日常内観が大事。やっぱり磨いていかないと、なかなか心がきれいな状態を保てないというのは、すごくわかるので、これはテーマですね。きっと内観に行った人みんなそうだと思うので…。
だから1年に1回とか、定期的に(集中内観に)行った方がいいと思うんですね。
なかなかまだ1回しか行けていないですけど、これはテーマですね。
(2022年12月現在は、集中内観を2回体験されています。)
【安藤尚範さんのインタビューを終えて】
いつもは外部からたくさんの情報がひっきりなしに入ってきて、自分の意識も外に向きっぱなしです。
しかし、集中内観の7泊8日間は、日常生活とはまったく異なる環境で、SNSやテレビなど、外部からの情報を断ち、心静かに意識を内に向け続けます。
また普段は、自己防衛本能が働き、他人から「こんなことをされた、あんなことを言われた。」「自分はこれだけしてやってるのに、相手は何も返してくれない。」など、迷惑をかけられたことや、不平不満、不足に思考パターンが向くことが多いです。
ところが、集中内観では、真逆の見方「お世話になったこと」「お返ししたこと」「ご迷惑をおかけしたこと」で、過去の事実を思い出していきます。
ですから、子どもの頃は、自己中心的なものの見方で、判断していたことを、今、振り返ることで、全く見えていなかった過去の事実が浮かび上がり、考え方やものの見方が180度変わるという予想外の体験をされる方が多くいらっしゃいます。
怒りや悲しみ、恨み、妬み、不平不満の心が180度変わったら、
申し訳なさや感謝、喜び、愛情に溢れ、こんなに幸せなことはありません。
不満を思うのも自分。
感謝に溢れるのも自分。
変えられるのは自分だけ。
そう思うと、集中内観で体験する愛情や感謝の気づきは、何もしなければ長続きはしませんが、その後も日々内観を継続し、心を磨いていけば、より一層、その喜びや感謝は深くなっていくのだと思います。
安藤さんが正直におっしゃられた「(集中内観後、心が変わるのは)最初だけなんです。日常内観が大事。磨いていかないと、きれいな心の状態は保てない。集中内観に行った人みんなのテーマだと思います。」は、私も同じ体験をしています。
日常生活に戻ると、集中内観で味わった喜びはすぐに薄れ、消えていくので、日々、少しずつ内観し、心を磨いていきたいと思います。
▶安藤尚範 社長が代表をつとめるアイズミュージックアカデミー