【経営者の内観インタビュー】日本初「宇宙商社」Space BD株式会社 代表取締役 永崎将利社長
今回は、宇宙事業と教育事業を手がけられるSpace BD株式会社の 永崎将利社長にお話を伺いました。
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質問者:インタビュアー(以下、Iと表示)
回答者:永崎さん(以下、敬称略)
I : 集中内観に行ったきっかけを教えてください。
永崎:11年間務めた大企業を卒業して、1年間無職の状態でいろんなものに手を出すんですけども、何をやってもうまくいかない時期が続いて、あるひとつ「このままじゃダメだ。」と思うに至った失敗事例が事業としてあって、何かブレイクスルーを起こさないと自分の人生が止まってしまうというような気がして…。
危機感のような、恐怖というか、不安というか…。
そういうところで、私の恩人である(中日本興業株式会社の)服部徹社長に相談したところ、「時間があるんだから(集中内観に)行ってみたら」と紹介してもらったのがきっかけでした。
やっぱり、やってみることの凄さっていうのを感じました。
自分の中に起きた変化っていうのは、自分がこの努力をしたら、こういった世界が見えるよ。というものと違うから、※予定調和じゃないすごいショックがある。
※予定調和・・・人や物事が予想どおり順調に動き、結果もその通りになることを指す言葉
I : 集中内観で、印象的だったことはありますか?
永崎 : 最初の3日ぐらいは、入り込めなかったというか、眠くもなるし、一体全体これが何か開けるんだろうかと、ちょっと懐疑的だったのが正直な記憶なんですけど…。
確か4日目だったですかね、朝にすごく何か違う景色が見えたような感じがあって、それが親への感謝だったんですけどね。そこでひとつ大きな節目があったような気がしましたね。
やっぱりやってみることの凄さっていうのは、この時(8年前に集中内観をした時)に 感じたことで、何が出るかわからないけども「やってみなさい。」と言ってくださった人が自分の信頼できる方だった。騙されてもやってみるかということで、自分の中に起きた変化っていうのは、自分がこの努力をしたら、こういった世界が見えるよ。というものと違うから、予定調和じゃないすごいショックがある。
人間はたぶんそんなものなんだろうと思っていて、感動というのも、見えているものであれば、感動して涙なんか流さないけど、やっぱり予定調和じゃないし、まさかこんなことが起きるとは思わなかったというところで、心が動くっていう事も、実はメカニズムは一緒かなっていう気はしてるんですけど…。
やってみてよかったっていうのと、背中を押してくれた勇気もあったでしょうから、それもすごく感謝しています。
結果として、親に対して、どこまでもいっても、してもらうことが当たり前と思っていた自分に気付かされました。
両親にコンタクトを取って、しっかり話したい、というアクションにつながったので、非常に感謝しています。
両親との関係性って、実は、人生で今この瞬間が、今までで一番良いような気がしているんです
I : 内観後、人間関係で変化はありましたか?
永崎 : 一つには、家族とのつき合い方が大きく変わったかなと思います。自分が意図せず親が自分に何かを与えてくれることが当たり前のように思っていた。
「ありがとう。」と言ってはいたんですが、そのありがとうは「ありがとう。」と言わなければいけない何かみたいなところから来ていたんだけど、内観を通して、本当に親の気持ちを考えることができたというか…。
今は人の親になったんですけど、当時はまだそうではなかったから、本当のところで気持ちっていうのは、想像でしかなったと思うんですが、本当に大変な思いをして育ててくれたことであるとか、それに対して自分がして差し上げたことは何だったのかなっていう事を非常に深く感じました。
それ(感謝)に対してアクションを取ろうと思って、実際にアクションを取った。それによって起きたこととしては、両親との関係性って、実は、人生で今この瞬間が、今までで一番良いような気がしているんですけど、それはちゃんと本当の意味での感謝を両親に伝えた。それによってきっと両親にとっても何らかの変化が生まれたのかもしれないですし…。
今、非常に円満な、幸せな関係性があるという事が、大きな変化だろうなという気がします。
本質的に自分が何を成し遂げたいのかとか、何をするための人生なのかというところと、できれば事業は一体化させたいと思った。そういう心境の変化があった。
I : 内観後、お仕事で変化はありましたか?
永崎 : 事業に関しては、引き続き迷走が続く時期なんですけど…。
ただずっとテクニック的な答えを求めていた、こうやったらうまくいかないとか…。
当時本当にお金がなかったので、独立した時の貯蓄をどんどん食い潰して、いよいよどうなるっていうところだったので、まだまだ事業に関しては表面的な何か、どうやったら利益になるだろう、どうやったらお金が入ってくるだろうかというところを求めていた苦しい状況というのがあったわけですけど、内観以前は、もうちょっと方法論(ハウツー)を知りたいというところだったのが、一回立ち止まれたのが大きかったのかもしれない。
やっぱり本質的に自分が何を成し遂げたいのかとか、何をするための人生なのかというところと、できれば事業は一体化させたいなと思って、そういう風に心境の変化があったというところは大きな変化だったかもしれないですね。
内観が教育、人の成長にものすごく深く関わっているものだと私自身が実感しています。なので、ものすごく効果があるものだと思っています。
I:教育に関する事業もされていらっしゃるという事で、教育と内観の関係性について、何か思われることはありますか?
永崎 : そうですね。これはすごく大事なご質問だと思います。
まず内観というものが教育、人の成長にものすごく深く関わっているものだと私自身が実感しています。なので、ものすごく効果があるものだと思っています。
教育事業を自分でやっている身からすると、究極的な教育って何だろうと言った時に、人に何か気づきのきっかけを与えることが、実は、言うは易しなんですけど、一番大きなパワーかもしれないなと思っています。
私自身が教育というものに興味関心をもって、自分が主体者としてやろうと思ったきっかけが、大きく父親の存在と、中学校の恩師がいます。二人とも自分の今を作ってくれる上で、この人達がいなかったら…。
例えば、「二足の草鞋を履け」っていう言葉があったり、これは父親からもらった言葉であり、またそれを支援してくれた中学校の時の校長島田先生、このお二人からもらった事が、「当たり前になるな」じゃないですけど、普通は「一つの事に集中しなさい」とか「二頭追うものは一頭も得ず」みたいな話があるんですけど、「いや、二つ追うから価値があるんだ」という事を中学生の時に伝えてくれた。
それは部活動と生徒会長と勉強とかそういうことだったんですけど、どっちかをやるから、どっちかを失うっていう事は言い訳に過ぎない。どっちも掴みに行け。どっちも満足にやって見せろ。それでこそリーダーだろと言ってくれた。
当時、それを鵜呑みにできた自分というのもいて、それも前提としては必要だったと思うんですけど、自分からすると思いもよらなかったメッセージをもらうことで、自分の人生が回り始める、変わり始めるという事に尽きるのかなと思います。
その二人の影響が大きくある中で、教育は人に作用するという事は、すごく勇気のいることであるんですが、すごく尊いことだなという事で、私も幸いにいろんな経験をすることができた人生なので、これを還元するというとおこがましい言い方になるんですけど、伝えていくというのが一つの使命だと思ってやっています。
当社がやっている宇宙ビジネスという、まだ答えがない、新しいチャレンジで、我々自身チャレンジの最中にあるので、その辺を包み隠さず、かっこよく何か落としどころのあるきれいなストーリーじゃないものを、僕らが実際にやっているというそのリアルを共有しながら、チャレンジすることが当たり前だという状態を作っていきたいですし、そういうプログラムを提供していくという事を大事にしています。
宇宙が持っている精神的なワクワクドキドキや未知への挑戦を事業や教育につなげたい
永崎:ワクワクが今は少ないから、宇宙ってワクワクドキドキの象徴みたいなものがあるから、老若男女みんな好きですね。だからこそ自分たちがやってるメインの事業は、人工衛星を打ち上げていくものなので、それだけ聞くと工学的な話なんですが、もっと宇宙が持っている精神的なワクワクドキドキとか、未知に挑むこととか…。
宇宙を考えると、人の顔って、物理的に上を見上げるんですよね…。
このあたりというのは、実は今の社会に大事な何かがあるような気がしていて、そうすると衛星打ち上げサービスが、※基幹事業であるものの、宇宙が持っている精神的な何か、きっかけなどを事業にしたいと思っています。それが一つ教育というところにも繋がりますし、それ以外にも何かできないかなと思っています。
※基幹事業・・・会社の中核事業の意味。
やると決めてやるという状態まで持って行けたのは、苦しい時代があったから。苦しい時代に、お世話になった内観や、一緒にいてくれた人というのは、やっぱり大事です
I:ロケットの打ち上げとなると、何も知らない私たちにとってはすごく夢のあるものである一方、それに至るまでのご苦労や、そういった一大事業を成功させるというのは、すごく大変なことなんだろうなと思います。
永崎:内観にお世話になった時の、1年間の無職期間があって、食べる(生計を立てる)ために作った会社があって、それを3年間やって、社名変更して、現在Space BD株式会社となっているんですね。その1年間の無職の期間、ナガサキ・アンド・カンパニー株式会社を作って1年半くらいは、本当に鳴かず飛ばずだったので、自分のささやかな会社員時代に持っていたプライドとかはズタズタでした。自信も失っていましたし、悔しい思いもたくさんしていたので、それがマグマとして溜まっていたものが、噴火する時を待っていたというか、その向く先に飢えていたんですよ。
今思えば、もし自分が会社員から飛び出して、このSpace BDという構想があって、そこの社長をやったとしたら、やりきれなかったと思うんですね。
つまり頭で考えたら足が出なかったと思うんです。ただ、その悔しさや、何者かになりたくてという、もどかしさのマグマみたいなものがあったからこそ、やると決めてやれたというところが大きかったと思います。
私自身、全く宇宙工学のバックグラウンドはないわけですし、人工衛星ってこの箱の中に何が入っているんですか?と最初に質問したくらいですから、やると決めてやるという状態まで持って行けたのは、そういう苦しい時代があったからに違いないですし、苦しい時代に、お世話になった内観とか、一緒にいてくれた人っていうのは、やっぱり大事ですよね。
I:特に今の時代、コロナでみんながマスクをして、相手の表情もわからなかったり、大人だけでなく、子供たちも学校に馴染めないなど、多くの方が生きがいを失ったり、不安を抱えたりしていると思います。何かメッセージがあればお願いします。
永崎:そうですね。これは(子ども)本人達の気持ちが、如何ばかりかという気がします。(大人として)すごく責任を感じています。
私がなぜ中学時代にそういう目を持てたかというと、やっぱりかっこいい先生がいたからだと思うんですよ。この先生かっこいいなとか、この先生と話していたら楽しいなとか、両親も非常に愛情を持って育ててくれたので、信じる何かがあった。この人のいう事を聞いてみようと思えた。それは「素直な気持ちを持ちなさい」って(口で)言うのも無責任な気がしていて、大人が(手本となって)そうさせることが大事なのかもしれないと思っているんですよね。
中学生とか高校生とか、今、社会にあまりワクワクドキドキしないとか、夢を持てないとか、大人になることが楽しいことに思えないとかは、こっち(大人)側に責任があるような気がするので、私たちが、私自身もそうですし、Space BDのメンバーが、「人生は素晴らしい」と言える、そういう人が増えて、大人って楽しそうだなって思わせることをやる努力が大事だろうなとすごく思っています。
I:子どもの頃や苦しい時代に、応援してくださったり、手を差し伸べてくださる方々のお話、とても感動しました。人の大事さを身に染みて感じました。
インタビューありがとうございました。
【永崎社長のインタビューを終えて】
日本初の宇宙ビジネスという未知の世界に、勇気をもって邁進される永崎社長の原動力のひとつに、先行きの見えなかった苦しい時代に出会った集中内観で、自分の本質的な内面を見つめられ、両親や恩師、恩人のおかげで、今の自分があるという心からの気づきや感謝があったように感じました。
現在は、お子様もご誕生されて、ご両親のお気持ちがより一層感じられ、苦しかったご経験をバネに、宇宙に羽ばたかれる姿は、子ども達だけでなく、私たち大人にも夢や希望を与えてくださいます。
お話されている時の目の輝きがとても印象的でした。
貴重な体験談をありがとうございました。