北陸内観研修所

内観小説

その11 養育費を稼いでくれた父親【恋人と長く付き合い、ゴールしよう!うまくいかない恋愛】

その11:養育費を稼いでくれた父親

内観3日目。

朝、起きるとしんどいと感じます。頑張って起床し、掃除をするため庭に出ました。
草むしりが、なつきのそうじの分担ヶ所です。広い庭のところどころに生えている雑草。
力を入れなければ、雑草はなかなか抜けません。雑草も懸命に生きているのだな、とふと思いました。

さて、母親はぼつぼつ思い出せましたが、父親との関係が思い出せません。すると、面接者から、養育費の計算をしてくださいと紙とボールペンを渡されました。

親が費やしてくれた金銭。なつきは何に幾らかかったのか思い出しません。

小・中学校時代は義務教育です。教育費は無料といっても、給食費や塾費を支払ってもらっていました。その当時にしても、これまでもなつきは親が子どものために支払うのは当然と考え、金銭として幾らかかったかを考えようとしたこともありませんでした。数字が出ません。

次の面接時に、なつきは幾らかかったのかを全く分かりませんと正直に答えました。すると、面接者は養育費の目安にする資料を持ってきてくれました。それを参考にしながら科目毎に小合計、そして総合計をはじき出しました。

約2500万円。なつきは唖然としました。

多すぎる、計算間違いをしたのだろうか……。電卓を、再度叩きました。しかしやはり2500万円という数値がはじき出されます。

両親は、どうやってこのお金を稼いだのだろうか?父親は自営業を営み、母親がそれを手伝っていました。食料品を売るという細かい金額を扱うこの仕事は、多忙を極めていました。早朝、父親は仕入れに行き、夜、遅く帰宅する稼ぎの中でしか、なつきの養育費は支払われないはずです。

寡黙な父親の後ろ姿が、意味のあるものに思えてきました。10円、いや1円を扱う父親の仕事から、大金が生み出されたのです。

面談で、なつきは報告しました。家一件分建てられる金額が、自分に費やされている事実に驚いたこと、資料を見なければ詳細が全く分からなかったことを話しました。

現在、なつきは自分の給料だけで暮らし、経費の節約をいつも考えて暮らしているため、養育してもらっている自分が、なんとおめでたい人間なんだと思わざるを得ないと感じたことも、つけ加えました。

感想を述べた後、面接者は次の内観は父親の続きを調べてくださいと言いました。その言葉に、なつきは過去のことは思い出さないと反論しました。

すると面接者は「それだけの大金を費やすのは親しかいないのではないでしょうか。さらに、たっぷりの愛情もプラスされます。養育費がかけられているという事実をチェックしてもらいました。次に、その背景をひとつひとつ吟味してください」。穏やかだった面接者は、力強く言い切りました。なつきは返す言葉がありません。

なつきは、思い出す努力をし始めました。すると、中学時代にお父さんが家族を引き連れて旅行に連れて行ってくれたことを思い出しました。日帰りの、ごく近郊へのドライブでした。なつきは、ホテルに泊まり遠くへ行きたいと思っていたので不満でした。

しかし、ドライブに父親が連れて行ってくれたことは事実で、認めざるを得ないことでした。そう考えると、内観もボチボチできるようになってきました。

夕方、なつきは父親に対する自分の一連を調べ終えると、寡黙な父親ですがなつきを可愛がろうとしていたことを突き止めました。今まで、疎ましく思っていた父親に対して、少し見方が変わりました。そして、温かい感情が生まれてきたのです。

これが内観か!!!

なつきは続けてやってみようと決心しました。

つづき
その12 素直な感謝

もくじ
恋人と長く付き合い、ゴールしよう!~うまくいかない恋愛~
なつきの恋愛ベタ克服ストーリー

はじめに はじめに
その1 私の付き合う男って皆ダメなやつばかり?
その2 ネガティブな思考パターン?
その3 人を愛せない
その4 プロポーズの返答
その5 お母さんせいで結婚できないという怒り
その6 思い出せない母親の記憶
その7 良い子でいようとした子ども時代
その8 拠り所になる人の励まし
その9 思い出さない過去
その10 寂しかった過去
その11 養育費を稼いでくれた父親
その12 素直な感謝
その13 母親への憎しみ
その14 慈愛が受容される
その15 彼の愛を受け入れる
その16 繰り返しダメな彼とつきあう訳
その17 自身を成長させてくれた元彼
その18 彼といると自然体でいられる自分
おわりに 生きづらさからの解放

番外
1 母親との関係がいい人は誰とでも円満につきあえる
2 なぜ感情をコントロールできないの?
3 辛いときに母を恋しく思うのは本能
4 パートナーの心が離れていく訳

TEL 076-483-0715
9:00〜18:00 (不定休)