北陸内観研修所

内観小説

[その14] 慈愛が受容される【恋人と長く付き合い、ゴールしよう!うまくいかない恋愛】

その14:慈愛が受容される

なつきは25歳の頃の、母親に対する自分を調べていました。

その頃、なつきは仕事が多忙で、その上、気の合わない先輩がいました。なつきは精神的にとことん疲れていました。久しぶりに電話で母親と話をしていて、思わず、仕事がしんどいと一言愚痴をこぼしてしまいました。

母は一言「仕事を辞めて、帰っておいで」と言ってくれました。その一言に、なつきは安心感を覚えたことを思い出していました。しみじみと考えました。

あの時、母さんの一言が嬉しかった。私は、お母さんがいろいろと問い詰めないことがとても嬉しかった。何も聴かず、帰っておいでと言ってくれた。なぜだろう?

内観して私は母に話を聞いて欲しいと思い、会話のない母に不満を持っていたことに気付いた。しかしこの時は何も言わず、聴かずにいてくれたことが、とても嬉しかった。自分が寂しいときには、母を要求し、何もしてくれないと悪く言う。一方、仕事を辞めたいと私が言ったときは、母が何も言わないことに安堵感を持ってしまった。

私って、なんて勝手なんだろう。これって、親に甘えているってことだろうな。そのうえ、母親は私に必要なときには必要な物を与えてくれた。今回は、物ではなかった。私が辛いときに母は帰っておいでと言ってくれた。

こうして幼い時から順に思い出してみると母が私に与えてくれたのは言葉ではなく、物や形があるものだったけど、私には確かに必要なものだった。母が私に与えているものと、私が母に要求するものはすれ違っていた。私は、母に受け止められていないと思い込み寂しかった。

しかし形こそ違っていたが、母親が私に対し愛を感じてなければできないことばかりだ。だって、家計が苦しいのに惜しみなくものをつぎ込んでくれたのだもの。それは事実。子どもの私に愛情がないと、不足しているものを与えるわけがない。しかも心身ともに疲れ果てるまで働いて…。私は、私の一方的な尺度でしか母親を見ていなかった。そう考えると、なつきは愛されているという充足感に浸っている自分に気付きました。

 

 

つづき
その15 彼の愛を受け入れる

もくじ
恋人と長く付き合い、ゴールしよう!~うまくいかない恋愛~
なつきの恋愛ベタ克服ストーリー

はじめに はじめに
その1 私の付き合う男って皆ダメなやつ
その2 ネガティブな思考パターン?
その3 人を愛せない
その4 プロポーズの返答
その5 お母さんせいで結婚できないという怒り
その6 思い出せない母親の記憶
その7 良い子でいようとした子ども時代
その8 拠り所になる人の励まし
その9 思い出さない過去
その10 寂しかった過去
その11 養育費を稼いでくれた父親
その12 素直な感謝
その13 母親への憎しみ
その14 慈愛が受容される
その15 彼の愛を受け入れる
その16 繰り返しダメな彼とつきあう訳
その17 自身を成長させてくれた元彼
その18 彼といると自然体でいられる自分
おわりに 生きづらさからの解放

番外
1 母親との関係がいい人は誰とでも円満につきあえる
2 なぜ感情をコントロールできないの?
3 辛いときに母を恋しく思うのは本能
4 パートナーの心が離れていく訳

 

 

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